【ダブルダッチのある生活】vol.2 たろゆうさん

ダブルダッチのある生活 – vol.2 たろゆうさん

僕が”殻”を破れたワケ



 現在大学院2回生のたろゆうさんは、ダブルダッチの全国大会DoubleDutchDelightJAPAN2020オープン部門への出場経験があり、現在でも培ってきた高い技術や経験を生かして大学祭でのパフォーマンスやイベント出演活動を行っています。今となっては縄・ステップ・スピードなど何でもこなしてしまうたろゆうさんですが、1回生のころは内気な性格から技術の習得やチームメイトとのコミュニケーションに苦戦していた時期もあるそうです。ダブルダッチに興味はあるけどなかなか自分から行動できないという方にも、参考になるお話を伺ってきました。

内気な性格だったたろゆうさんが、自身の殻を破り変わったきっけとは?



ダブルダッチサークルに入ったきっかけは?

 僕がダブルダッチサークルに入ったきっかけですが、友人からの誘いでした。運動習慣がつくサークルに入りたいと思う傍ら、各サークルの入会締め切りが終わる時期でした。なかなか自分にあったサークルが見つからなかったなと思っていたタイミングで、同じ学科で学籍番号が1つ違いの友人から、こんな練習してるんだよと見せてもらったのが、アクロバットの練習風景の動画だったんです。元々アクロバットをやってみたいと思っていたので「これだ!」と思いました。カッコ良さに惹かれ、その勢いで友人についていきサークルの見学に向かいました。当時の僕は、このサークルの活動がダブルダッチであることを知らされてなかったため、見学のために体育館に入った瞬間は戸惑いました。目の前ではなぜかダブルダッチをしている人たちが沢山いたからです。アクロバットをするサークルだと思ってましたからね…。でも楽しそうなので入会しました。しばらくの間はまさやさんにアクロバットを教えてもらっていましたが、楽しさや憧れよりも怖さが勝つようになってきて、アクロバットの練習をしなくなっていきました。

 新入生歓迎時期を終えると、多くのサークルは入会を祝うコンパを行いますが、僕の入会タイミングはコンパ後。遅めの入会だったため既に新入生のチームは結成されており、僕自身、現役学生としてダブルダッチの大会に出るチーム(正規チーム)に入るつもりもありませんでした。そんな中、全体練習には参加するものの一人で練習をしている僕を見て、当時のサークル代表だったちゅーたさんに「君チーム入ってないの?じゃあここ入りなよ!」と急遽5人チームに加えてもらうことになりました。ダブルダッチを本格的に始めたのはここからです。



1回生の頃はどんな人物だった?

 かなり静かな性格で、あまり我を出すタイプではなかったです。例えば、フリーロープ(主に個人が曲に合わせて自由に跳ぶダブルダッチの遊び方)でみんなが輪になっている中、なかなか自分から飛び込んで行けず、端の方で静かにリズムに乗っているだけでした。先輩や同期がいる中で縄に飛び込んでいくのはなかなか勇気が必要ですからね。でもせっかく輪にいるんだからと、先輩が背中を押して縄に入れてくれてました。そのくらいおとなしい子でした。今は、フリーロープ中に昔の自分と同じような新入生を見つけると、温かい気持ちになって背中を押して入れてあげています。



静かな性格が変わったきっかけは?

 一つ目は、DoubleDutchDelight2019出場にあたり、『一つ上の先輩のチームに勝つ』というチーム目標を掲げたことがきっかけです。憧れてきた尊敬する先輩であり、その目標が大きかったからこそ、普段の練習にも本気で取り組むようになりました。普段なんとなく行っていた一つ一つの練習も、どうすれば上手くなれるのかや、動作の細かいポイントに意識して行うようになり、ダブルダッチワークショップに積極的に参加したりと1回生の頃の自分よりもかなりアクティブになっていったと思います。

 二つ目は、2回生の頃に参加した大阪のダンスバトルです。2回生の夏の大会が終わった頃、ダブルダッチの出演依頼がサークルに来ました。後輩数名と依頼を受けたのですが、ダンス演目の中でダブルダッチをするというものだったんです。ステージの上で表現する、という意識を考え始めたキッカケでもありました。ダブルダッチを始めるまでは、大勢の前でパフォーマンスをする、という経験はありませんでしたから、表現の力を身に着けなければとの課題意識を持ったんです。依頼主の吉備国際大学助教(2019年当時)の近江先生は、軽快なリズムに乗って踊る現代的なダンスやダブルダッチの指導もされていて、「同じステージに立つならもっと表現を知っていこうか!」と大阪のダンスバトル観戦にお誘いいただいたんです。僕たちは表現の幅を広げるという目的のもと、近江先生と共に大阪に行きました。今考えると凄いですよね。

 最初はただ観戦するだけだと思っていたダンスバトルですが、観戦料も参加料も同じということで近江先生に「出てみたら?」と言われました。ダンス初心者どころか、ダンス自体経験したことのない僕らが急に出て即興で踊れるわけがありませんでしたから、その時は即答できませんでしたが…かなり悩んだ結果、これも一つの経験かなと思い、出ることにしたんです。めちゃくちゃ勇気を振り絞りました。その時の僕はダンスのノウハウが無いので、ダンスバトル中にやっていたことは、『踊り』というより『リズムに乗ってただ動いている』というだけでした。それでも、周りを囲っていた怖そうなダンサーさんたちは僕のダンスを見て盛り上げてくれて、ダンスバトルが終わった後は不思議とスッキリした気分になりました。ダンス未経験の僕がダンサーに囲まれながらバトルに出場したという経験は、それ以来僕の支えになっていて、思い悩むときにその時のことを思い出すとすぐ行動に移せるようになっています。あれ以上の経験はなかなかありませんからね…。笑



大切にしていることは?

 

 会った先輩には必ず自分から挨拶する、体育館などの練習場所の掃除は積極的に、モノの整理整頓をきちんと行うなど、です。やっぱり、これらのことをきちんとやっていると先輩から可愛がられますし、手伝いや片付けを積極的にやることで、「自分にとって良い状況になって、更に誰かに褒めてもらう」というようになるんです。得が多くて、とても気持ちがいいです。
 また、普段練習場所として使用させていただいている外部の体育館についてですが、感謝の気持ちをもって掃除を積極的に行います。普段は自分が動く姿を見せて後輩に伝えるタイプなのですが、僕が1回生の時、掃除が始まったタイミングで「先輩が動いてるよー?」と声掛けをしてもらったことがあります。言われてから気付くこともあるなと、ハッとしたことがありました。そうした後輩への声掛けもたまにしつつ、「自分にとって良い状況になって、更に誰かに褒めてもらう」という良さを、みんな知っていくといいなと思っています。



上記の「当たり前のことを当たり前だと思って行動する」ルーツは?

 ルーツは小学校の頃のミニバスケットボールです。その時お世話になっていた監督には、バスケットボールの技術よりもむしろ礼儀や整理整頓、靴の先端をそろえることなどを厳しく教えていただきました。監督は今も昔も僕の尊敬する方であり、そんな尊敬できる大人が身近にいたからこそ、現在でもあいさつや清掃などは当たり前のことだと思いながら自分からすることができ、僕の人間性のベースとなっているんだと思います。



 現在のたろゆうさんに至るまでの様々なお話を聞くことができ、ダブルダッチに興味はあるけどなかなか自分から行動できないという方にも、参考になるお話でした。今後の活躍を心から期待しています。

ありがとうございました。(2023.10)



vol.1<< >>vol.3

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です